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専門家コラム2026-06-045

歯科麻酔の種類と副作用|効かない・ドキドキするときの対処法

監修:現役の歯科医師

臨床経験をもとに本音でお伝えします|監修・編集方針を見る ›

歯科麻酔の種類と副作用|効かない・ドキドキするときの対処法

歯科麻酔の種類と副作用|効かない・ドキドキするときの対処法

こんにちは。歯科医師です。歯科治療と聞いて、多くの方が一番気になるのは「麻酔」のことではないでしょうか。「麻酔が効かなかったらどうしよう」「打った後に心臓がドキドキして怖い」「副作用は大丈夫?」——こうしたご相談を診療室でも本当によくいただきます。今回は、歯科麻酔の種類や副作用、そして「効かない・ドキドキする」ときの具体的な対処法について、わかりやすくお話しします。

1. 歯科で使われる麻酔の種類

歯科麻酔と一口に言っても、実はいくつかの種類があります。治療内容や患者さんの状態に応じて使い分けられます。

① 表面麻酔

歯ぐきの表面に塗るタイプの麻酔です。注射の針が刺さるときの「チクッ」を軽減してくれます。ゼリー状やスプレー状のものが一般的です。

② 浸潤(しんじゅん)麻酔

最もよく使われる注射の麻酔です。治療する歯の近くの歯ぐきに注射し、その部分の神経を一時的にしびれさせます。

③ 伝達麻酔

下の奥歯など、浸潤麻酔が効きにくい部位に使います。太い神経の根本にお薬を届けるため、広範囲がしっかり麻酔されます。

④ 笑気吸入鎮静法・静脈内鎮静法

麻酔そのものというより「リラックスして治療を受けるための補助」です。歯科恐怖症の方や、嘔吐反射が強い方に使われます。

2. 費用と治療時間の目安

麻酔の種類費用の目安保険適用効くまでの時間/持続時間
表面麻酔処置料に含まれる○ 保険適用1〜2分で効き始める
浸潤麻酔処置料に含まれる(数百円程度)○ 保険適用2〜5分/1〜3時間持続
伝達麻酔処置料に含まれる○ 保険適用5〜10分/3〜6時間持続
笑気吸入鎮静法3,000〜5,000円程度△ 条件付き保険適用治療時間+α
静脈内鎮静法15,000〜50,000円程度原則自費(条件により保険)治療時間+回復30〜60分

通常の虫歯治療では、麻酔込みでも1回20〜40分程度。麻酔が完全に切れるまでは2〜4時間ほどみておくと安心です。

3. 麻酔の副作用・気になる症状

  • 動悸・ドキドキ感:麻酔薬に含まれる血管収縮薬(エピネフリン)の影響。多くは数分で落ち着きます。
  • 気分が悪くなる・冷や汗:緊張による「血管迷走神経反射」が原因のことが多いです。
  • しびれが長く残る:通常は数時間で消えますが、まれに神経の近くで起こることも。
  • アレルギー反応:発疹・かゆみ・呼吸苦などが出た場合はすぐに医師へ。
  • 内出血・腫れ:針を刺した部位に青あざのような跡が出ることがあります。

4. 「麻酔が効かない」ときの原因と対処法

「自分は麻酔が効きにくい体質かも…」と感じる方は少なくありません。実は、効きにくくなる原因はいくつかあります。

  1. 炎症が強い:強い痛みや膿がある状態だと、麻酔薬の成分が中和されてしまい効きづらくなります。先に抗菌薬で炎症を抑えてから治療することもあります。
  2. 下の奥歯:骨が厚いため浸潤麻酔が届きにくく、伝達麻酔への切り替えが有効です。
  3. 強い緊張・睡眠不足:体が興奮状態だと痛みを感じやすくなります。
  4. 体質的な個人差:遺伝的に麻酔が効きにくい方も存在します。

効かないと感じたら、我慢せず必ず歯科医師に伝えてください。「追加で打つ」「別の種類に変える」「日を改める」など、複数の対処法があります。

5. 「ドキドキする」ときの落ち着け方

  • 麻酔前に深呼吸を3回。息を吐く時間を長めにすると副交感神経が働きます。
  • 動悸を感じたら左手を挙げるなど、合図を決めておくと安心です。
  • 高血圧・心疾患・甲状腺の持病がある方は、事前に必ず申告を。血管収縮薬の少ない麻酔薬に変更可能です。
  • 強い不安がある方は、笑気や静脈内鎮静法の併用も検討できます。

6. 麻酔後の過ごし方のポイント

  • 麻酔が切れるまでの2〜3時間は食事を控える(頬や舌を噛みやすいため)。
  • 熱い飲み物は火傷のリスクがあるので避ける。
  • 当日はアルコールや激しい運動を控える。

おわりに

歯科麻酔は、痛みを抑え、安心して治療を受けるための大切なパートナーです。「効かない」「ドキドキする」といった不安は、決して特別なことではなく、伝えてくださることで私たちもより安全な治療をご提供できます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の症状や治療方針については、自己判断せず必ず歯科医師にご相談ください。

参考情報

  • 厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報」(歯科用局所麻酔薬に関する報告)
  • 日本歯科医師会「歯とお口のことなんでも相談室」
  • 日本歯科麻酔学会「歯科麻酔に関するガイドライン」
  • 日本歯科保存学会・日本口腔外科学会 各種ガイドライン
  • Malamed SF. Handbook of Local Anesthesia, 7th ed., Elsevier.

⚕️ 医療情報についてのご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。