logo
あなたの歯のお悩みを解決歯科医師が考える理想の口腔ケア

広告に左右されない,本音の歯科情報サイト

専門家コラム2026-05-136

歯の神経を抜くとはどういうこと?根管治療の流れと費用

監修:現役の歯科医師

臨床経験をもとに本音でお伝えします|監修・編集方針を見る ›

歯の神経を抜くとはどういうこと?根管治療の流れと費用

歯の神経を抜くとはどういうこと?根管治療の流れと費用

「むし歯が深いので、神経を抜きましょう」と歯科医院で言われて、不安になった経験はありませんか?「神経を抜く」と聞くと、なんだか怖い響きですよね。今回は、歯科医師の立場から、神経を抜く治療(根管治療:こんかんちりょう)について、患者さんが本当に知りたいポイントをやさしく解説していきます。

「歯の神経を抜く」とは、そもそもどういうこと?

歯の中には「歯髄(しずい)」と呼ばれる、神経と血管がぎゅっと詰まった組織があります。この歯髄は、歯に栄養を運んだり、痛みを感じて異常を知らせたりする大切な役割を持っています。

しかし、むし歯が深く進行して歯髄まで達してしまったり、強い衝撃で歯髄が死んでしまったりすると、激しい痛みや膿(うみ)の原因になります。そのままにしておくと、顎の骨にまで炎症が広がってしまうことも。

そこで行うのが「根管治療」です。歯の根の中にある歯髄を取り除き、内部をきれいに清掃・消毒して、薬を詰めてふさぐ治療のことを指します。

こんな症状があるときに必要になります

  • 何もしていなくてもズキズキ痛む
  • 冷たいもの・熱いものがしみて止まらない
  • 歯ぐきが腫れて膿が出ている
  • 歯をぶつけて変色してきた
  • 以前治療した歯の根の先に病巣ができた(再治療)

根管治療の流れ

根管治療は、おおまかに次のようなステップで進みます。

  1. 診査・診断:レントゲン撮影や、必要に応じてCT検査で歯の根の状態を確認します。
  2. 麻酔・むし歯の除去:痛みを感じないように麻酔をしてから、感染した部分を取り除きます。
  3. 歯髄の除去:細いやすり状の器具(ファイル)を使って、歯髄を丁寧に取り除きます。
  4. 根管内の洗浄・消毒:薬液で根の中をきれいに洗い、細菌を減らします。これを何回か繰り返します。
  5. 根管充填(じゅうてん):清潔になった根の中に、ゴム状の薬(ガッタパーチャ)を緊密に詰めます。
  6. 土台と被せ物:歯を補強する土台を立て、最終的に被せ物(クラウン)を装着します。

治療期間はどれくらいかかる?

根管治療は、1回で終わる治療ではありません。歯の根は細く曲がっていて複雑な形をしているため、通院を重ねて少しずつきれいにしていく必要があります。

  • 前歯(根が1本):おおよそ2〜4回、期間は2週間〜1か月程度
  • 奥歯(根が3〜4本):おおよそ3〜6回、期間は1〜2か月程度
  • 再治療や難症例:さらに長くかかる場合もあります

被せ物まで含めると、トータルで1〜3か月かかるイメージです。「途中で痛みがなくなったから」と通院をやめてしまうと、内部で細菌が再増殖して悪化することがあるので、最後まで通いきることがとても大切です。

費用の目安(保険診療と自費診療)

根管治療の費用は、保険適用か自費かで大きく変わります。

項目 保険診療(3割負担の場合) 自費診療
根管治療そのもの 1本あたり 約3,000〜1万円程度(数回分の合計) 1本あたり 約5万〜15万円程度
土台(コア) 約500〜2,000円 約1万〜3万円
被せ物(クラウン) 約3,000〜7,000円(金属・硬質レジン) 約8万〜18万円(セラミック・ジルコニアなど)

自費診療では何が違うの?

自費の根管治療では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)やラバーダム(唾液の侵入を防ぐゴムのシート)、ニッケルチタン製ファイルなどを使い、より精密な治療を行うことができます。研究では、こうした精密治療によって治療の成功率が高まることが報告されています。

ただし、保険診療でも丁寧に治療してくださる先生はたくさんいらっしゃいます。費用と治療内容のバランスについては、担当の歯科医師とよく相談して決めましょう。

神経を抜いた歯は、その後どうなる?

神経を失った歯は、栄養が届かなくなるため、もろく折れやすくなります。また、変色しやすくなったり、再び根の先に炎症が起きる可能性もあります。だからこそ、治療後も次のことを意識してください。

  • 定期検診で経過をチェックしてもらう
  • 硬いものを強く噛みすぎない
  • 毎日のていねいなセルフケアを続ける

最後に

「神経を抜く」というと不安かもしれませんが、歯を残すための大切な治療です。痛みを我慢せず、早めに歯科医院を受診することが、結果的に治療期間も費用も抑えることにつながります。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状や治療方針は人によって異なります。必ず歯科医師にご相談のうえ、ご自身に合った治療を選択してください。

参考情報

  • 厚生労働省「歯科診療報酬点数表」
    https://www.mhlw.go.jp/
  • 公益社団法人 日本歯科医師会「テーマパーク8020:歯の根の治療」
    https://www.jda.or.jp/
  • 一般社団法人 日本歯内療法学会
    https://www.jea.gr.jp/
  • Ng YL, Mann V, Gulabivala K. "Outcome of primary root canal treatment: systematic review of the literature." International Endodontic Journal, 2008.
  • European Society of Endodontology. "Quality guidelines for endodontic treatment." International Endodontic Journal, 2006.

⚕️ 医療情報についてのご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としており,個別の診断・治療の代替となるものではありません。 症状・治療方針については,必ず歯科医師にご相談ください。 掲載情報は執筆時点のものであり,診療内容・費用・制度は変更される場合があります。